ニキビにも使える⁈ベトネベートについて
ニキビができると気になって、気分も落ち気味になります。
なんとかニキビを治したい、そう思って洗顔や化粧品を変えたり、皮膚科に行ってみたり、いろんな対策を取っているんじゃないでしょうか。
ニキビ治療の定番と言えば・・・
ニキビ治療の定番と言えば、「薬」となります。
今、ニキビ治療薬は、結構たくさんあるのですが、薬には、皮膚科など病院に行かないともらえない薬と病院に行かなくてもドラックストアや薬局などで買うことができる薬があることはご存じですか。
ドラックストアや薬局で買うことができる薬は、「OTC薬」と呼ばれていて、ニキビ、薬とかで検索すると、おススメも薬として何種類か紹介されています。
そんなOTC薬は、時間がないときとか、お手軽に買うことができてすごく便利なんですが、思わぬ落とし穴があるので注意が必要です。
実際に、カウンセリングのお客様やメール相談のお客様の中で、対策内容を聞いていると、パッケージをみて化膿と書いてあったから、炎症と書いてあったから・・という理由で安易に使っているケースがあります。
また、ニキビを治したくてOTC薬を使ったけど、全然よくならない、それどころか、ひどくなった、そういう方が多くみえるので、OTC薬の使い方、注意点をお伝えしたいと思います。
1.ベトネベートってどんな薬?
- ベトネベートの成分:
- ベタメタゾン吉草酸エステル
- フラジオマイシン硫酸塩
(1)ベタメタゾン吉草酸エステル
ベタメタゾン吉草酸エステルは、いわゆるステロイドと呼ばれる成分で、かゆみや赤み、腫れなどの炎症を抑えることができます。
(2)フラジオマイシン硫酸塩
フラジオマイシン硫酸塩は、菌をやっつけてくれます。フラジオマイシン硫酸塩は、いろいろな菌をやっつけることで感染を抑えてくれます。
ベトネベートの効果は?
ベトネベートの説明書である添付文書、効能・効果引用
化膿を伴う次の諸症状:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん
化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)
添付文書にあるように、ベトネベートは、あせもや虫刺され、じんましんなどさまざまな皮膚症状に効果があります。ですが、ニキビの原因としてよく知られているアクネ菌に対する効果は未知数で、ベトネベート添付文書にもニキビに使える薬となっていません。
3.ベトネベートを長期ニキビ治療におススメできない理由
効果のところでもお伝えしましたが、ニキビにおススメの治療薬としてネットなどで勧められているベトネベートですが、もともとニキビに使っていい薬ではありません。
もちろん、ベトネベートがニキビの原因菌であるアクネ菌にも効果を示す可能性はあるので、ベトネベートで症状が良くなってきたという方がみえるかもしれませんが、基本的にはベトネベートをニキビに使用することはお勧めできません。
ベトネベートをニキビにおススメできない理由は、中に含まれている成分にあります。ベトネベートに含まれているステロイドは、炎症を強く抑えてくれる非常に優れた薬です。しかし、炎症を抑えるのと同時に、ばい菌からの抵抗力を弱くしてしまうというデメリットがあります。
ステロイドは、使い続けることで肌が本来持っている抵抗力を弱くしてしまい、ニキビなどの皮膚疾患にかかりやすくなったり、治りにくくなってしまいます。
虫さされなど、一時的な皮膚疾患に対してステロイドを使うことは、症状をすぐに抑えてくれてメリットも大きいのですが、ニキビのようにさまざまな原因が複雑に絡みあい、症状も長く続くような皮膚疾患にステロイドを使うことは、メリットよりもデメリットの方が大きくなるので、注意が必要です。
また、抗生剤を使うこともお勧めできません。
ニキビはアクネ菌が原因でできることはよく知られていると思います。そのために、アクネ菌をやっつけようと抗生剤を使う治療が一般的に行われます。
ニキビに抗生剤を使って良くなったと実感されている方は、たくさんいると思いますが、それと同じくらい抗生剤をやめたらまた症状が出てきた、抗生剤が効かなくなってきたという方もいると思います。
これが、抗生剤を使うことがおススメできない理由です。
抗生剤は使い続けると、耐性菌と呼ばれる抗生剤が効かない恐ろしい菌が誕生します。抗生剤が効かなくなってきたと感じている方は、その耐性菌が原因となっている可能性が高いです。
耐性菌ができると、別の抗生剤への変更ということになります。ですが、これも同じで、最初はしっかりと効果が得られると思いますが、次第に効果が出にくくなってきます。この繰り返しによって、何種類も何種類も抗生剤を使っていくたびに、それらの抗生剤に対する耐性菌ができてニキビはどんどん治りにくくなってしまいます。
ステロイドも抗生剤も、炎症を抑えたり、菌をやっつけたりする効果があり、一時的な効果が期待できるのですが、長期間使用すると結果的に肌を弱くして、ニキビが治りにくい複雑な状態にしてしまいます。
これらの理由から、ステロイドと抗生剤が入っているベトネベートは、ニキビ治療にお勧めできません。
4.ニキビ治療はどうすればいいのか?
おさらいすると、ベトネベートは、中に含まれているステロイドと抗生剤が、肌を弱くしてしまうことで、ニキビをより複雑な状態にしてしまうためにおススメできないということでした。
つまり、この肌が弱いというのが、ニキビ治療において、もっとも重要なポイントとなります。
ニキビ治療で本当に行わなければならないことは、弱く敏感な肌を強く正常な肌に近づけてあげることです。そしてこれは、残念ながら薬で行うことはできません。
ニキビができにくい強く正常な肌に近づけるためには、ストレスを減らす、睡眠をしっかりとる、甘いもの脂っこいものを控えるなどの生活習慣を整えるとともに、毎日行うスキンケアがとても大切になってきます。
すでに実践しているのに、なかなか改善がみられていない方は、もしかしたら、まだできてしまったニキビを治そうという意識が働いているからかもしれません。ニキビ治療で意識してもらいたいことは、できてしまったニキビを治すということではなく、ニキビができない強い肌を作るということです。
特にスキンケアでは、ニキビに効果がある成分に注目しがちになりますが、そうではなく、正常な肌に近づけるかどうかが重要となります。ニキビに悩まれている方、早くニキビを治したくて、ニキビに対する直接的なアプローチをしたいと思う気持ちはすごくよくわかります。
ですが、それではニキビの早期治療から遠ざかってしまいます。
ベトネベートなどの薬を使うことも、その一つで、結果としてニキビを複雑にし、治りを遅くしてしまいます。
ニキビを早く治すためには、急がば回れではないですが、敏感な肌を正常な肌に近づけるためのケアを行うことが大切です。
日々の生活習慣、スキンケアを見直してみて、ニキビに負けない強い肌を作っていきましょう!
スキンケアによる対策を考えている方の場合、まずはご相談ください。