「赤ら顔は遺伝する」という話を聞いたことはありませんか?そんなウワサを聞くと、「遺伝じゃあどんな対策でも治らないのでは?」「自分の子どもも赤ら顔になってしまうのでは?」と心配になることもあるでしょう。しかし、本当に赤ら顔は遺伝するのでしょうか。遺伝する場合、対処法はあるのでしょうか。今回は、赤ら顔の遺伝について、さまざまな角度から考察してみましょう。
子どもの赤ら顔とは?
まずは子ども特有の赤ら顔について解説していきましょう。
北海道や東北地方など、寒い地域に住む子どもには、「雪ん子」という愛称がつけられています。絵本などでは、みんな頬が赤く描かれていたりしているのを見かけたこともあるかと思います。作者にその意図があるかはわかりませんが、この頬の赤さは、実は寒い地方に住んでいる子どもは赤ら顔になりやすい、ということを表しているのです。
というのも、人間の身体は皮膚に寒い空気が触れると、体を温めるために皮膚の下にある毛細血管に大量に血液を流し、体温を維持しようとします。
その状態が続くと、毛細血管が常に拡張された状況になってしまい、結果としていつも赤ら顔になってしまうのです。そのため、寒い地域や雪国の子は頬っぺたを赤く描かれることが多いのです。もちろんこれは病気でもなんでもなく、むしろ「元気に遊ぶ子ども」の象徴として描かれていました。そもそも子どもの頬っぺたは寒い地域の子でなくても、ほんのりと赤く、またそれが可愛らしくもあります。その可愛さを強調するためにも頬っぺたを赤く描いている絵本などが多いのです。
遺伝しているのは「赤ら顔」ではなく「肌質」
では、本題の「赤ら顔は遺伝するのか?」ということについて。残念ながら、生まれつきの赤ら顔という人の場合は、原因は遺伝であることが多いようです。
しかし、遺伝するのは赤ら顔ではありません。皮膚が薄く、太い毛細血管が人より目立ちやすい=赤ら顔になりやすい、という体質が遺伝するのです。
肌が白い親からは色白の子どもが生まれる、黒髪の親からは黒髪の子どもが生まれるのと同じ要領です。つまり、決して「遺伝性の病気」というわけではないのです。
そして、遺伝は100パーセントではありません。肌が薄い体質が似ている、というだけであれば、赤ら顔対策をすることが可能な場合もあります。
遺伝するのは「赤ら顔」だけではない?
遺伝するのは赤ら顔だけではありません。アトピー性皮膚炎などは遺伝で発症することが多いようです。そして、アトピー性皮膚炎の子どもは、赤ら顔でもある場合があります。これは、アトピーを発症した肌が赤みを引き起こしてしまうこと、アトピーの治療薬として皮膚科で処方さるステロイド薬の副作用であることが大きな原因です。
しかし、だからと言って安易にステロイド薬をやめることはできません。ステロイド薬の使用を中止することで発生する皮膚のかゆみや痛みは、子どもに大きなストレスをかけてしまいます。酷い場合、無理にステロイド薬の使用を中止することで、逆に「ステロイド依存症」になってしまうこともあります。このように、明確に特定の病気が原因の場合は、安易な判断はせずに、専門家に相談するようにしましょう。
また、遺伝によって起こる赤ら顔の原因のひとつに、皮脂を分泌する「脂腺」が大きいことも挙げられます。脂腺が大きいと、その分、分泌される皮脂の量も多くなるため、毛穴詰まりや雑菌の繁殖によって、赤ら顔やニキビ顔の原因になってしまうのです。
遺伝での赤ら顔への対処法
もともと肌が薄い可能性がある方は、刺激を与えない対策を心がけることです。
見た目の対策ではなく、肌を刺激させない普段のケアの見直しや血管系を丈夫にしていく対策など、症状を引き起こしている原因そのものを対策していきましょう。
あなたの赤ら顔は本当に生まれつき?
赤ら顔にはさまざまな原因があります。その中でも、生まれつきの体質が原因のものと、そうでないものとがあります。たとえば、極度の緊張やストレスで顔がカーッと赤くなるタイプの赤ら顔、つまり「赤面症」などは、体質だけでなく精神状態に依存することが多いようです。その場合は、メンタル面の訓練が必要になる場合もあります。
また、飲酒などアルコールによって顔が赤くなる人がいるのと、逆にお酒を飲んでもまったく顔が赤くならない人がいるのも、体質的なもの。これもアルコールに対する個人の分解力や肝機能の問題なので、簡単に改善できるものではありません。
しかし、これらの症状は原因がはっきりしているため、逆に言うと突発的に発症してしまうものでもありません。これは遺伝的なものも多少はありますが、やはりどちらかと言うと体質によるところが大きいので、食生活や、日ごろの習慣を見直してみるといいかもしれませんね。
赤ら顔で注意しなければいけないこと
最後に、遺伝性の人でも、そうでない人でも注意すべきことをひとつ挙げましょう。
鼻周りや頬が赤い人や、気温の変化で顔が赤くなるような人は注意が必要です。これは、皮膚が薄くなることにより、毛細血管が透けてしまっていることが原因によるもの。もちろん、もともと遺伝で皮膚が薄い人もいるのですが、そうでない人も含めて、実はその大半が自分で皮膚を削ってしまっているのです。
「皮膚を削る」というと、「そんな恐ろしいことしていない!」と思う方が多いと思いますが、日々のスキンケア方法をちょっと見なおしてみてください。洗顔する際に、小さな粒粒が入ったゴマージュなどで頻繁にマッサージを行なったりしていませんか?はがすタイプの毛穴パックを使ったり、ピーリング剤の配合されているものを使っていたりはしませんか?
人間の皮膚の角質層の厚さは、わずか0.02ミリほどしかありません。自分では「削っている」という自覚がない、むしろ「お肌のためにしている」と思っている行為でも、実際は肌を傷つけているという場合がたくさんあります。そのような間違ったスキンケアを続けていると、元々薄かった肌がさらに薄くなり、毛細血液が浮き出やすくなってしまいます。さらに、皮膚を傷つけることで免疫力が低下し、ニキビや肌荒れなどの肌トラブルが起こりやすくなり、赤ら顔が悪化するおそれもあるのです。
まとめ
「自分が赤ら顔だから、子どもも赤ら顔が遺伝してしまったらどうしよう」と気にしてしまう気持ちもわかります。しかし、絶対に遺伝するというわけではなく、対処法もあります。あまり神経質に構えずに、正しい知識を持って、何かあった時は専門家に相談するように心掛けておけば大丈夫です。自分の赤ら顔がどのような赤みなのか、まずはご相談下さい